知恵産業研究会報告書
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第3章 京都企業の「知恵」の抽出
3.「京都企業の知恵」抽出結果
3.2 「新価値創造アプローチ区分」、「事業展開ステップ区分」別の知恵の使いどころ分析
図表24に整理した「知恵」を、まず「新価値創出アプローチ区分」に分け「事業展開ステップ区分」ごとの特徴を捉えると以下のとおりとなる。
特徴
- 技術開発型のアプローチをとる企業においては、革新技術であるほど、既に顕在化している市場(必要とされていることが明らかな市場)を追いかけて参入するよりも、まだ明らかに見えてきてはいないが、近い将来に顕在化するであろうと思われる領域に対して進出することが大きな成功への知恵となっている。この実現のためには、将来を予測する上でのある程度のリスクがあるものの、近未来の兆しに対して鋭い感知力を磨いておけば、確度の高い潜在ニーズの察知が可能になる。また、それは徹底して技術を高めようとする熱意と関心の高さからも見いだせることである。
- さらに、潜在ニーズよりも予測は困難であるかもしれないが、顧客がまだ気づいていない、これを見せれば「欲しくなる」、というような商品やサービスの企画に向けた知恵が効果的である。意思決定者の個人的能力もさることながら、技術開発を通じ、同時に使い手の立場にも立ちながら考えることによって、新たな「欲しい」というポイントを見いだすことが、まったく新しい市場を創造する。
- 比較的創業期に近い技術開発型アプローチ企業の場合、事業企画段階から研究開発、生産、販売までの全事業プロセスを一貫して自社の力でカバーしようとするよりも、徹底して「技術」レベルの高さにこだわる資源投下を行うことが、結果的に大きくて優良な市場の獲得につながっている。自社にとって開発困難な製品は、他社にも開発困難。それが開発できればオンリーワン商品の可能性は高い。自社研究開発のリスクよりも優れた他社技術を活かして事業を進めたいという大企業等のニーズを活用するという具現化戦略も、持続的成長に効果的である。これは、「黒子に徹する」という流通・販売ステップに見られる知恵と連動可能な戦略でもある。
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