知恵産業研究会報告書

第3章 京都企業の「知恵」の抽出

4.京都企業の「知恵」の特徴

4.1 分析フレームワークから明らかになった京都商工業の知恵

異分野交流の知恵は「技術開発型」「市場開拓型」で活用法に差がある

異業種や異分野、異文化交流からの知恵は、京都産業においても「アイディア段階」「企画段階」「研究開発段階」などで大きな知恵の源泉となっている。しかし、この「異」の活かし方となると、技術開発型と市場開拓型の両アプローチ間には、活用の意味が異なることが明らかとなった。

まず、技術開発型アプローチにおける異分野交流から得られる知恵は、異分野の知恵をそのまま活かすというよりも、異分野の知恵を自分野の知恵創出の起爆剤として活用する場合が多い。

これに対し、市場開拓型アプローチでは、異分野の知恵や技術、市場そのものを、自分野のそれらと組み合わせて、新たな価値創出につなげている。つまり、組み合わせやプロデュース力のもとに新たな価値を創出するのに活用されているのである。

異分野・異業種交流は盛んであるが、これをいかに効果的に活かすかを考える時、この両者間の差の自覚は重要である。

市場開拓型は「企画」、技術開発型は「研究開発」で異分野の知恵を活用

『異業種交流』及び『産学公連携』の活用も知恵を生むための重要な要素である。市場開拓型は、特に企画段階で異業種交流により多くの商品企画の具現化に結びつけている事例が多い。これは、異業種異分野の知恵を、自社の商品と直接融合させることが可能な場合が多いことが理由として挙げられる。

異分野の知恵を活かした自社の技術開発を必要とする技術開発型においては、異業種交流による知恵の効果的活用は、「研究・開発段階」において顕著である。その理由は、技術開発においては異分野の知恵や技術との直接融合が困難なことが多いからである。その場合、自己の『強み』を知る企業が、課題解決のために自己の『弱み』、すなわち欠けている点の補足のために異業種の技術(知恵)を活用することも特徴的に見いだされる。

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