第三者承継
創業90年の丹波松茸昆布本舗「あめ久」 知人への事業譲渡により暖簾を託す
丹波篠山で創業し、90年となる丹波松茸昆布本舗「あめ久」。先代の川西氏が40数年前に現在地(京都市南区西九条南小路10)に移転して営業。
立地は世界遺産である東寺の東門前で、多くの国内・海外の観光客が訪れている。
会社概要 | 売り手 | 買い手 |
---|---|---|
会社名 | あめ久 | ― |
代表者 | 野川 眞 さん 野川 英子さん |
岸田 美幸 さん 和久 理絵 さん |
事業内容 | 佃煮製造・販売事業 | ― |
"支援事例PDF版はこちら"
事業承継・引継ぎ支援事例(あめ久).pdf
事業承継支援までの経緯
▶野川眞氏は、旧京都みやこ信用金庫を定年退職後に、同金庫の元同僚の紹介で一念発起し、高齢かつ後継者不在であった
「あめ久」を、17年前、先代の店主川西氏より事業承継した。
▶しかしながら64歳で承継した野川眞氏は、17年間夫婦で頑張ってきたものの、自らも高齢化(81歳)と後継者不在という
課題を抱えながら廃業だけは避けたいと考えていた。
▶そんな折、気に掛けてたびたび訪問してくれる京都信用金庫九条支店担当者の塚田氏がいた。その担当者の熱意と誠意に
押されて「後継者がいないので廃業することになる」との相談をしたことから、京都信用金庫の事業アトツギ支援部を通し
て当センターを紹介された。
▶野川眞氏から相談を受けた当センターでは、京都信用金庫と連携して後継候補者を3者紹介したが合意に至らず2年が経過
していた。
▶そこで海外の観光客相手に少しでも役立たせるため野川英子氏が通う英会話教室で、その生徒である岸田美幸氏に「引き
継いでほしい」と声を掛けたところ意気投合した。
▶譲受側の岸田美幸氏は、海外からの観光客が多い立地にあって自身が英語力が活かせることに加え、何よりも自身が「あ
め久」のファンであることから事業の引継ぎを真剣に検討。長女である和久理絵氏の協力が支えとなり決心を固めて事業譲
渡契約が成立した。
【マッチングの留意点】
お客さんを引き付ける品々
・事業譲渡のため事業資産、経営ノウハウ、得意先など個別の譲渡
・店舗の賃貸借契約の新規契約
・譲受者が事業を行うための営業許可の取得
・譲受者の今後の経営に関する事業計画書の策定
・今後の経営のための資金調達
【成約に至ったポイント】
これからも多くのファンが訪れる 老舗「あめ久」
・譲渡者と譲受者が知人であり信頼が醸成されていた
・事業譲渡価格が双方にとって適正であった
・譲受者の熱意と覚悟が示された
・当センターが公正・中立の立場で支援した
【事業承継・引継ぎ支援センターの対応】
▶譲渡側への支援
・事業の課題・問題の抽出
・双方の要望のヒアリング
・締結等に向けたセンター登録の外部専門家(会計士)の紹介
・事業譲渡に係る契約等のアドバイス
▶譲受側への支援
・事業経営未経験の岸田美幸氏親子に事業引継ぎに係る手続支援
・事業承継計画、収益計画の策定支援
・今後は京都商工会議所洛南ビジネスサポートデスクを紹介し、店舗経営を支えるための様々な支援であるIT化に向けた
専門家派遣や、事業 再構築を進める補助金支援など進めて行く予定
ひとこと
・創業90年の佃煮製造・販売事業で全国からの注文も多く、2,000人を超えるファンがいる。後継者が不在で廃業するのは
地域経済にとっても 問題である。
・前経営者も事業承継でバトンを繋ぎ、商品や顧客を熱い思いで守ってきた。そのような思いを繋いでくれる後継者を探し
ていたところ今回見 つかったことがマッチングの成功につながった。人と人の信頼や思いが事業承継では大変大切である。
・また、本件は紹介を受けた京都信用金庫との連携が成約につながった。