第三者承継
事業多角化を模索中の事業者が、高齢化と後継者難に悩んでいた同業他社を事業引継ぎ
事業を受け継いだ斉藤商会(斎藤正氏)は1992年創業。自動車(主に旧車)の改造やメンテナンスを中心とし、修理や車検等は取引先に外注発注していた自動車整備業者。顧客の要望に応えるためにも各種サービスの内製化と
作業の効率化やコストダウンを考えていた。そんな折、取引先の工具店の仲介で譲渡先を探していた赤西進社長(有限会社グッド自動車)を紹介され面談、双方の思いが合致したことから中小M&Aによる事業引継ぎを決意した。
具体的な手続きなどを取引のあった京都中央信用金庫に相談したところ、専門的なサポートが受けられる京都府事業承継・引継ぎ支援センターを紹介された。
会社概要 | 売り手 | 買い手 |
---|---|---|
会社名 | 有限会社グッド自動車 | 斎藤商会 |
代表者 | 赤西 進 さん (75歳) | 斎藤 正 さん (61歳) |
事業内容 | 自動車整備指定工場 | 自動車整備業 |
事業承継・引継ぎ支援事例(斎藤商会).pdf
事業承継支援までの経緯
事業を譲り渡した有限会社グッド自動車(赤西進社長)は、1973年創業で約50年の業歴を持つ『指定工場』であるが、赤西社長は78歳で後継者は不在。今後廃業によって馴染み客(個人ユーザー)や取引先の自動車関連業者に迷惑を掛けたくないという思いから、2020年に京都府事業承継・引継ぎ支援センターに譲渡先について相談を頂いていた。
【指定工場】設備や技術、組織などが一定の基準を満たし地方運輸局認可の指定自動車整備事業工場で、陸運支局に代わって車検を行うことができる
【マッチングの留意点】
・債務超過<譲渡側>
・土地取得時の未払金と役員借入金の整理<譲渡側>
・株主の分散(株主の一部は死亡されている)<譲渡側>
・不動産の瑕疵(建物一部未登記)<譲渡側>
・指定工場の維持の為に、検査員および管理責任者確保
に向けた人員の確保<譲受側>
【成約に至ったポイント】
双方の売買条件や事業の方向性が合致したことに加え、譲渡側の従業員(有資格者)の残留希望により雇用の維持と同時に人材の確保が図れ、譲受側でも新たな有資格者の養成が可能になるなどシナジー効果が期待されています。
事業承継・引継ぎ支援センターの対応
①事業の引継に向けた売り買い側双方の課題洗い出し
②具体的なマッチング・スキームの提案
③株主の集約、不動産の瑕疵解消、各種契約書の作成・締結等に向けたセンター登録の外部専門家(公認会計士)の紹介
ひとこと
事業の多角化・効率化と事業の継続という異なる目的ではあるものの、双方がユーザー(取引先を含む)ファーストで中小M&Aにチャレンジされた事例です。
金融機関や取引業者からの紹介を機に当センターを相談相手に選んで頂いたことで、事業引継ぎの条件調整や各種手続きをご案内することができました。
結果として、地域に親しまれた業歴50年の自動車整備工場が、近隣(京都市北区内)の自動車関連事業者にスムーズに引き継がれることで、従業員の雇用の維持と同時に、顧客サービスの向上が図れました。
(京都府事業承継・引継ぎ支援センター 統括責任者代理 重野 利明)