第三者承継
繁盛店の事業を引き継いで独立開業の夢を叶える
創業者であるご主人の後を継いで、人気店の経営を切り盛りしてきた外山路容さん。10年間の頑張りを節目に、和食料理人として経験豊富な岩谷安司さんに事業を引き継いでもらうことを決意しました。店だけでなく、看板やご贔屓のお客様、そしてこれまでの思いも合わせて後継者に夢を託します。
会社概要 | 売り手 | 買い手 |
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会社名 | 株式会社シンスケ | |
代表者 | 外山 路容さん | 岩谷 安司さん |
事業内容 | 飲食店 | 創業者 |
第三者へのバトンタッチで
創業者の遺志と育んできた思いを残す
ボリュームたっぷりでインパクトのある海鮮丼
もともとアパレルデザイナーだった外山さんが、他界したご主人の店を継いだのは今から10年前のこと。ボリュームたっぷりのインパクトある海鮮丼やうしお汁などの人気メニューで繁盛店にした主人の店を守ってきたが、「65歳となり、仕事に追われて忘れていた自分の時間を大切にしたいと考えるようになった」という。ご主人が残した屋号やメニュー、コンセプトを継いでほしいという思いから、取引金融機関である京都中央信用金庫を介し、京都府事業承継・引継ぎ支援センターに相談し、一緒に第三者へのバトンタッチを目指すことになった。
一方、岩谷さんは和食料理人としての経験が豊富で、飲食店を経営していた父親の背中を見て育ってきたことから、「50歳までには独立したい」という夢を持っていたという。自身でも、テナントを探して回るなど準備を進めてきたが、既存の店を引き継ぐ形でも開業できると考え、当センターを訪ねたことで両者のマッチングが実現した。「子どもの時から抱いていた自分の店を持つという目標を叶えられた」と話す。
お客様の笑顔のために!
経験と技術を生かして新たな魅力づくり
地域で愛されてきた店「すしごはん馬ん場」
当センターが中心となって、契約書の作成や各種申請の手続き、資金調達のサポートなどを行い、2022年2月に株式譲渡が完了。「店を譲ると決めたときは精神的につらい時期もあったが、京都中央信用金庫と当センターの担当者さんが気持ちに寄り添ってくれたので、迷いを断ち切ることができた」と外山さんは振り返る。
岩谷さんは当初、割烹スタイルの店を考えていたため、「店を引き継ぐにあたって、コンセプトの違いに大変悩んだ」という。しかし、外山さんと話をするうちに、お客様に笑顔になってもらう思いは、変わらないことに気づいた。「地域で愛されてきた店を守りながら、自分が得意とするメニューやサービスを足していくことで、新しい魅力を生み出していきたい」と意気込みを見せる。
今後は、自慢の天ぷら料理や新鮮な刺身、選りすぐりの地酒を提供するほか、鯖寿司や箱寿司などのテイクアウトサービスにも取り組んでいくという。「素晴らしい後継者と巡り会うことができた。長く店を続けていってほしい」とエールを送る外山さん。今回の事業承継を通して、創業者の思いもしっかりと未来へと受け継がれた。