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第2回京都・知恵ビジネス・ワークショップ開催報告

知恵を活かしたものづくりが京都を変える!

本所では「知恵産業のまち・京都の推進」を基本方針とした「ニュー京商ビジョン」を策定し、知恵産業を生み出すためのさまざまな取り組みを進めている。その普及・啓発の一つの集大成ともいえる「第二回京都・知恵ビジネス・ワークショップ」を二月二十四日、京都市勧業館「みやこめっせ」において開催し、パネルディスカッションやポスターセッションによる京都の知恵ビジネスの紹介を行った。
パネルディスカッションでは、中森孝文京都工芸繊維大学准教授をコーディネーターに迎え、「次代から選ばれるホンモノづくり」をテーマにそれぞれの立場から白熱した議論が交わされた。
また、ポスターセッションには、昨年九月に聞かれた第一回目の参画事業者二十五社・団体を大きく上回る六十二社・団体が出展し、自社の強みや知恵の使いどころを発表。京都の知恵ビジネスの多様性と奥深さを実感する内容となった。

第2回京都・知恵ビジネス・ワークショップ開催概要
日時 平成21年2月24日(火)13:30-18:00
会場 京都市勧業館「みやこめっせ」
内容 (1)パネルディス力ッション
「次代から選ばれるホンモノづくり?今求められる顧客への新価値創造?」
(2)ポスターセッション計62社団体
(3)情報交換懇親会
主催 京都商工会議所
共催 京都府、京都市
後援 (財)京都産業21、(財)京都高度技術研究所、(財)京都市中小企業支援センター
来場者 約450人
"強み"への気づきが知恵を生み出すきっかけに!

今回のワークショップでは、京都で先駆的なビジネスを展開する六十二の事業者が一堂に集まり、それぞれ魅力的な商品やサービスを紹介しました。すべての事業者に共通しているのは、自社の強み、つまり事業の柱となる"コア・コンピタンス"に気づいて、それを活かし、売上げ拡大や知名度向上に結びつけているということでしょう。ここで言う強みとは、技術だけではありません。品質、価格、顧客、人材、のれん(ブランド)など、自社が提供するモノやコトを見直せば、「どこにも負けない!」という価値はどこかに必すあるのではないでしょうか。まずは自らの強みを見つけること、これが最初の知恵の使いどころとなるに違いありません。

顧客から求められている付加価値を創出

気づいた強みを活かし、新たな価値を創出していくには、二つのアプローチがあります。それは、自社の技術やサービスを徹底的に磨き高めて、新しい市場・分野に進出する「技術開発型」のアプローチと、既存技術やサービスの強み、魅力を活かすことができる市場開拓や用途開発などを行って、新しい価値を創出する「市場開拓型」のアプローチです。
「技術開発型」の事例からは、(1)自社の強みに気づく、(2)コア技術を磨き上げる、(3)異業種・異分野の技術を活用する、(4)川上の生産工程へと業務を拡張する、(5)自社では流通経路を持たず黒字型経営に徹するなどといった特徴が見受けられます。一方の「市場開拓型」では、(1)自社の強みに気づく、(2)異業種・異文化・京都ブランドをうまく活用する、(3)ヒューマンネットワークを使う、(4)新たな分業体制を構築する、(5)物語性を高めるなどコトづくりに積極的に取り組む、などといった知恵を使っていることが分かります。
具体例を見てみましょう。「技術開発型」の事例、N社は友禅染で培ったスクリーンマスクの製作技術を自社の強みととらえ、多様化するニーズと結びつけることで、プラスチック用スクリーンや電子部品用スクリーンの製造へと次々にビジネスを展開。今では、薄型テレビ製造用スクリーンを一手に受注するなど、これまでにない付加価値を生み出しています。
また、「市場開拓型」の例として、百五十年以上の伝統を誇るO社は、呉服で培った京友禅の染色技術と職人ネットワーク、そして羽織の裏地に描かれた豊富な図柄のストックを活かし、現代のライフスタイルに合わせた高品質なファッション雑貨や生活用品を開発して独自のブランドを確立、海外市場で大きな注目を集めています。伝統工芸品としての枠を超え、顧客ニーズを的確に把握し、提供したことが成功につながったのでしょう。

今回、ワークショップに参加した事業者の多くが、自社の"強み"に気づき、知恵を活かしたモノづくり、あるいは新たな価値創造へとつなげています。京都の先行事例から学ぶべきヒントは、身近にたくさん埋もれていると思います。

知恵ビジネスの可能性を掘り起こす「ハンズオン型」支援

本所では、平成二十一年度は、知恵ビジネスの「育成」に本格的に着手していきます。まずは、業種を問わずさまざまな分野で、これから知恵ビジネスに取り組もうとする事業者の「知恵のチャレンジャーネットワーク」を創設し、育成土壌を整えていきます。こうしたネットワークの中から、知恵が活かされているか、まだ事業化されていない具体的なビジネスプランをコンテスト方式などで発掘し、本所の経営支援員や専門人材の活用などにより、経営者とともに課題解決を図っていく「ハンズオン型」のきめ細やかな支援を実施していこうと考えています。
一方、これまでに取り組んできた「普及・啓発」の事業も引き続き実施していきます。知恵産業のイメージやメリットを目に見える形で伝え、知恵ビジネスに取り組もうとする意欲ある事業者にどんどん手を挙げていただけるように誘導していきます。京都に基盤を置く事業者がそれぞれの強みを磨き、付加価値の高い商品・サービスを展開し、新たな顧客創造に取り組んでいくことで、「知恵産業のまち・京都」の魅力が高まっていくと信じています。

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