経営者のための人財育成通信 vol.8
2024年07月19日 コラム
教育訓練のあり方と助成金の活用策
人的資本経営やリスキリング等、人財の育成と活用に関する話題を目にする機会が増えてきました。「人財育成の重要性は理解しているが何をどうすれば良いか」、「一般的な投資額の目安は?」等悩みは尽きないのではないでしょうか。今回は従業員への教育訓練の代表格であるOFF -JT(研修)について、全国の企業を対象とした調査から見る実施状況や助成金の活用について紹介します。
企業のOFF-JT実施状況
厚生労働省の統計調査を読み解くと、企業が従業員に行っているOFF-JTの姿が見えてきます。
(対象:常用労働者30人以上を雇用している企業・事業所)
▼ 毎年4割に相当する従業員が研修を受講
▼ 一人当たり費用は3万円※
※企業が支出したOFF-JT費用の一人当たり平均1.3万円÷受講した正社員の割合44.5%
(厚生労働省 「令和4年度能力開発基本調査」結果を基に京都商工会議所にて試算)
こうした従業員の教育訓練には、「人材開発支援助成金」を活用できます。
人材開発支援助成金の概要
厚生労働省所管の人材開発支援助成金は、「事業主が、労働者に対して、職務に関連した専門的な知識および技能を習得させるために実施した訓練の経費などを助成する制度」で、研修受講料等の経費と受講中の賃金が対象です。
助成金申請は次のステップで進みます。
このうち、② の「訓練計画」では、① の「能力開発計画」を基に、「誰に」対する、「何の(どのような)」訓練を、「いつ」実施するのかを記載することになります。申請書を作成することで人財育成計画を可視化することができます。
助成率と参考助成額
具体的に、どの程度の費用が助成されるかは次の通りです。(令和5年11月時点)
例えば、1日(6時間)、受講料30,000円の研修を想定すると、助成により、正味の金銭負担額は11,940円となります。
ここまでは正社員を対象に統計データの分析や助成金を試算しましたが、新入社員等新たに雇い入れる従業員や、有期雇用の従業員(経費助成率60%)も対象として申請することが可能です。
助成金申請にも必要な「能力開発計画」と「訓練計画」を作成して、計画的な人財育成に取り組む
第一歩にしてはいかがでしょうか。
※申請と支給には各種要件があります。詳しくは助成金センター(075 -241 -3269)にお問い合わせください。
※本コラムは京都商工会議所会報誌 BUSINESS REVIEW 2024年 1-2月号に掲載分の再掲です。