経営者のための人財育成通信 vol.7
2024年06月27日 コラム
定着率を高めるための対応策
新卒3年以内に3割が離職
厚生労働省が令和4年10月に発表した「新規学卒就職者の離職状況」(平成31年3月卒業者)の調査によると、大卒就職者の約3割が3年以内に離職しており、業種により離職率は異なるものの、企業規模が大きいほど離職率が低い傾向にあります。人手不足の中、苦労して採用した従業員の退職に頭を悩ませる経営者は多いのではないでしょうか。よくある離職理由から定着率向上のヒントを探ってみましょう。
主な離職理由
内閣府の「子供・若者白書」(平成30年度)によると、初職の離職理由は下図のとおりで、大別すると①仕事内容への不満、②待遇への不満、③人間関係への不満に起因しています。
定着率向上の対応策
①仕事内容は、ホームページや求人媒体で、自社で働く社員の声を掲載する、若手社員と就職希望者との座談会の開催等を通して自社で働くイメージを持ってもらう等、ミスマッチを防ぐことが有効です。また、自社の求める人物像を明確にして、面接に臨むことが大切です。面接が不慣れであれば、面接者のトレーニングも必要です。②待遇は、自社にとって不利な情報でも予め開示することで、ミスマッチを防ぐことが重要です。透明性の高い人事評価制度や昇給・昇格制度の導入により若手社員のモチベーションを高めることや教育体制を整備しキャリアパスを明示することで、やりがいをもって働ける環境整備を行いましょう。③人間関係は、前号で紹介した「心理的安全性がある」職場※環境づくりが大切です。いずれの対応策も一朝一夕にはなしえませんが、粘り強く時間をかけて取り組み、組織に新たな価値観を定着させていくことが大切です。
※「上司や同僚に気兼ねすることなく率直に自分の意見を言える職場」のこと。
※本コラムは京都商工会議所会報誌 BUSINESS REVIEW 2023年 11-12月号に掲載分の再掲です。