京焼・清水焼をはじめ、様々な伝統工芸品を中華圏やアジア各国に輸出販売する中で、後継者不足や技術承継の課題を目の当たりにしてきた。次代を担う人材を雇用し育てていく必要性を改めて実感したことから、今回のビジネスプランでは清水焼団地内に電気窯や電動ろくろを完備した自社工房を設立。若い世代の職人が、今の時代に合った働き方をしながら陶芸技術の習得ができる持続可能な環境を整備する。

また、海外向けブランドとして「清水焼　陶謙窯」を新たに立ち上げ、中華圏との長年の取引で培ってきたマーケティング知識と販路チャネルの間口の広さを生かして、現地の生活スタイルや文化に合った商品の開発を行う。国内向けには「器に、新風。fuuu」というブランドを立ち上げ、普段使いできる京焼・清水焼を手頃な価格で提供していく。異なる素材や技術とのコラボレーションにも積極的で、大文字の送り火で使われた炭をNPO法人大文字保存会から譲り受け、本焼きの工程で使用したり、伏見の酒造メーカーが日本酒の精米過程で出た米ぬかを酒器や盃の釉薬として独自開発するなど、京都らしさを生かしたストーリー性のある商品開発に取り組む。

清水焼団地協同組合と協力関係を構築し、経験豊富な窯元や作家などから技術指導を受ける機会を創出。意欲にあふれる若い職人に仕事や設備、技術を提供し、顧客のニーズにかなう「売れるものづくり」を学び実践してもらうことで、京焼・清水焼の未来を担う人材の育成につなげる。