マイキャン・テクノロジーズ社は、再生医療技術を用いて血球細胞の成長過程を任意にコントロールする技術を開発し、大学の研究者や研究機関、製薬会社等が求めるヒト特殊血球製品を提供してきた。さらに血球作製技術を進化させ、iPS細胞から未成熟樹状細胞（Mylc細胞）を世界で初めて開発することに成功し、iPS細胞由来新型コロナウイルス研究用血球細胞を研究者らに提供している。

新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、呼吸器感染症における研究開発が加速化しているが、肺は特殊な器官であるため、免疫細胞を使った薬剤評価を生体で行うことが困難だった。今回のビジネスプランでは、同じiPS細胞を使った独自の肺細胞作製技術による新型コロナウイルス感染評価実績を持つHiLung社とコラボレーションし、感染感度が非常に高いMylc細胞と肺の組織細胞を組み合わせることで、より生体に近い状態を再現、有効性の高い呼吸器感染症の評価キットの開発を目指す。iPS細胞由来の細胞を使うことで、疑似的に同じ一つの細胞から作成が可能となり、拒絶反応などが起きないのが特徴。製薬会社や研究機関等への提供を通して、世界的な課題となっている呼吸器感染症の研究促進をバックアップしていく。

Mylc細胞は、脳疾患を含むすべての疾患に関与する血球細胞であることから、研究素材としての可能性は大きく広がっている。iPS細胞のみならず、末梢血や動物の血液などからMylc細胞を作成できる技術を有しているのも同社の強みで、今後は様々なバイオベンチャー系企業と連携することで、感染症や免疫疾患以外にも対象が拡大していくことが期待される。