創業から京黒紋付染で培ってきた、黒をより黒く染める技術をアパレル素材に応用し、ジーンズなどの製品を自社ブランドで製造・販売してきた。今回のビジネスプランでは、シミや汚れなどで着られなくなった衣類、またメーカーなどが抱えている不良在庫を黒く染め替え、黒をより黒くする独自の「深黒加工」という新たな付加価値をプラスして提供する。古い衣類のアップサイクルだけでなく、最初から染め替え後のデザインを想定した衣類を販売し、1着で2wayのデザインを楽しんでもらうユニークなプランも用意する。

販路開拓には、アフィリエイト(成果報酬型広告)のスキームを活用。大手アパレルやデパート、リサイクルショップなどと提携し、その会社のホームページのバナーから一般消費者の古着の染め替えを受注し、売上の20％を報酬として支払う。また、受注システムは業種問わず無料で提供し、全国に染め替えの取次代理店を広げていく。目の前にある汚れた衣類がすべて商品となる可能性があり、将来マーケットは大きく広がっていくと予想する。

染め替えという新規事業で利益を得ながら、廃棄衣類の削減やCO2排出の抑制などに寄与できる新たな取り組みとして、社会的な注目度は高まっている。今後は衣類再生の啓発運動を行う一般社団法人の立ち上げも視野に入れ、「染め替え可能商品」と明記した下げ札を付与することで、メーカーや消費者がSDGsなどに関心を持ってもらうきっかけづくりを提供する。伝統技術を現代のライフスタイルに生かすことによって、黒染め文化が次代へと発展的に継承されることが期待される。